オリジナルグラスOriginal Glass:Firestone Walker US-Pint Glass
2013年誕生 チェコの言葉でBeerを表すPivoは、アメリカ国内におけるピルスナービールの地位の復権に貢献した存在である。 Pivoの生みの親であるブリューマスターMatt Brynildsonは“ピルスナー=大手ビール”という図式の払拭に力を入れている。 「アメリカンピルスナーは“大手が生産する工業的なビール”に乗っ取られてしまったために、人々に誤ったイメージを持たれている。 今こそアメリカンピルスナーの地位を取り戻して、新たな時代へと進む時なのだ」と彼は語る。
1800年代中期にチェコのPlzen(ピルゼン)で誕生したピルスナーは、ヨーロッパ中で広がりを見せセンセーションを巻き起こした。 アメリカでもヨーロッパからの移民により洗練された味わいのピルスナーが醸造されていたのだが、1900年代には大手のラガービールが市場に広く流通することで“ピルスナーといえば工業的な大手ビール”と認識されるようになってしまったのである。 クラフトビールと呼ばれるものが人気を博すようになり、美味しいIPAが数多く醸造されるようになった2000年代になっても、本物の味わいを持った“クラフトピルスナー”はほとんど市場に出回っていなかった(New Belgium Blue Paddle、Lagunitas Pils、Coronado Golden、VictoryPrima Pilsなどは当時から出回っていた本物のクラフトピルスナーの数少ない例)。 そのようなピルスナーの扱いに終止符を打つため、Pivoは誕生したのだ。 ドライホッピングを施したイタリアのピルスナー(Mattがイタリアで飲んだのはBirrificio ItalianoというブリュワリーのTipopils。 このビールに出会って彼はドライホッピングをしたピルスナーを造る構想を得た)に最初のインスピレーションを受けたPivoはドイツ、チェコ、イタリアから影響を受けつつ西海岸らしいひねりが加えられたピルスナー。 ホップ、モルト、酵母は100%ドイツ産のものを使用しながらも、チェコのボヘミアンピルスナーのような苦みと豊かなフレイバーを持ちあわせる。 これだけであればスタイルに忠実に醸造されたビールだと言えるだろうが、そこから更にSaphirホップによるドライホッピングを施したこちらは、ウエストコーストスタイルのホッピーピルスナーと呼ぶべきだろう。
グラスに注ぐとクリアな麦わら色に真っ白なヘッドが乗る。 モルト由来のビスケットとともにホップの青々しい草・フローラルさが力強く香ってくる。味わいはクリーンなモルトの甘みにフローラルかつスパイシーでしっかりとした苦み。 ドライホッピングから来るベルガモットやレモングラスのニュアンスが味わいに彩りを加える。フィニッシュは非常にドライで苦みが残る。 リフレッシングでライトボディの、ホップアロマ・フレイバーが前面に出た仕上がり。リリース直後から予想以上の人気を博した。 これはクラフトビールファンがピルスナーの魅力に気づき始めたという事も示唆している、とMattは考える。 「初めてクラフトビールにハマった人々は、強烈な味わいを探し求めてトリプルIPAなどに手を出すものだ。 しかし経験を積むにつれ、彼らはバランスが良く飲みやすくてセッショナブルなビールを求めるようになる。 本物のピルスナービールはそれら全てに当てはまるのだ。 2013年、2014年、2015年のGreat American Beer Festival 金賞 |